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世界一詳しい!?スカルパNEWTXPROのレビュー

2024.05.18

来期久しぶりにモデルチェンジされるスカルパのNEWテレマークスキーブーツ『TXプロ』をがっつり2日間使わせてもらってきたので色々お伝えしたいと思います。

まずお伝えしなければならないのは、テレマークスキーの規格について。
・75mm規格
・NTN規格
という2つがありますが、このTXプロはNTN規格です。

75mm規格からNTN規格に買い替えようかな?硬くないのかな?
とか
4バックルのNTN規格のテレマークスキーブーツを持っているけど3バックルはどうなんだろ?
とか
3バックルのターミネーターXってもう手に入らないんでしょ?3バックルが欲しいな!
と気になっている方必見です!

NEWモデルのTXPROってどんなブーツ?

使ってきたのは2024の5/11~5/12の立山。
雪が少ない?なんて言われている今年ですが雪の大谷は例年より低いかもしれませんが、滑る場所(ライン)は全くと言っていいほど小雪なんて気にならず、同じくらい雪があった気がします。
そんなゲレンデでなく山岳地帯のバックカントリーで使わせてもらったのですごくよく分かりました。
シール登高はもちろん、登山道も1時間くらい歩いたり、滑ったり転んだり(お客様の前でももちろん転びます。笑)かなりしっかり試すことが出来ました。

ちなみに私がいつも使っているのは同じく3バックルのターミネーターX(現在は廃盤)

こうやって見てみると結構細部が違いますね。
このスカルパの3バックルのターミネーターXが廃盤になってしまって4バックルブーツしかなく、
NTNへの移行をどうしようと思っていた方も多いかと思います。

現行(23-24まで)のTXプロは

足形や構造はターミネーターXと一緒でシェルの硬さとバックルの数、ブーツの高さなどが違います。

新しいTXPROの変更点は沢山あるので代表的なものとしては(全くのNEWモデルなので全部違うと言えば全部違う)
①4バックル→3バックル
②ウォークモードの可動域が22度→62度
③スカルパの特徴の斜めに入った蛇腹が変更
④インナーブーツの素材変更(イントゥイションインナーであることに変更は無し)→薄く柔らかくなった。
⑤同じサイズでもシェルサイズが1cmくらい小さくなる(NTNのサイズSorLに変更は無し)
⑥パワーベルトが伸縮有に変更(ブースターストラップ)
⑦カント調整は無しに変更
⑧足首のベルトは固定方法が独立になった

一個一個見ていきます。

TXPROの4バックルから3バックルへの変更について

これはかなり大きな変更点です。
ただ、単純に3バックルになったわけではありません。
そしてターミネーターXと同じではありません。

バックルの上のプラスチックが広くなり(立ち上がりが高くなり)前方へのサポート力が強くなっています。

旧TXプロと比べるとちょうど上2つのバックルの中間くらいに新しいTXプロのバックルは位置するので3バックルだからと言って1つのバックル分弱くなるというか柔らかくなるわけではありません。

店頭に残ってた旧TXプロが26cmしかなく、NEWTXプロが27cmなので若干高さ関係は変わりますが参考にはなるかと思います。
あっ、一番下のバックルの向きも変わっています。

ウォークモードの可動域が22度→62度

上が今までのスカルパのウォークモードの動き方です。

これがNEWTXPROのウォークモードの動き方です。
今までのは、むかーしからのスカルパのウォークモードの構造の関係でLOWシェルが構造的に邪魔をしていたんですね。
新しい構造は全く形が異なるので62度という驚異的な可動域を持っています。

で、これが実際に使ったときどうなのか?ということですが、
シール登高では前に踏み出した一歩のシールの効きが圧倒的に違う!
ってしっかり感じることが出来ました。
踏み出したその一歩は足首の角度が90度より広く(鈍角になる)ようになりますが、その角度が広くなるのでシールの効くタイミングが早く感じました。
これはすごく体力の温存につながりますね!

そして1点感じたアドバンテージが、登山道などを歩くときにやはり圧倒的に歩きやすかったです。
今回一ノ越から東一ノ越へ登山道をスキーを背負ってトラバースしました。
スキーブーツでの登山道の歩行は登山靴に比べれば歩きにくく時には身の危険につながることもあるかと思います。
その歩きが62度という可動域のおかげですごく快適に感じました。
そのシーン↓

良く思いますが、モデルチェンジは必ず良くなるものではないと思っています。
ある人には良くなるかもしれませんが、他の人には改悪という場合もあると思います。
例えばゲレンデがメインで滑りを重視する場合は旧TXPROやシェルがさらに硬い4バックルのTXコンプの方が良いかもしれません。
なので、みんなに必要な機能ではないかもしれませんが登山道はすごく歩きやすく感じました。

スカルパの特徴の斜めに入った蛇腹が変更

上から写真を撮れば良かったです…

これでもわかりずらいですね…
写真の撮り方に反省してますが、スカルパの特徴でもある斜めに入った蛇腹は全然違う角度になっていて真っすぐに近いです。
滑りにどう影響するの?
っていうのが一番肝心な点ですが、私鈍感なんでしょうね?
いきなり2500mオーバーの立山で滑りましたが別に違和感ありません。
気にしなくて良いレベルじゃないかな?と。
(多分敏感な方はしっかり感じれます。もちろん私も感じてはいます…)
人間の持ったポテンシャル(対応幅)は余裕で対応しちゃうと思うという意味です。

それと同時にインナーの構造も変わっています。

このように蛇腹部が曲がりやすくなっています。
そしてスカルパでよく言われてた足の甲の部分、後述しますがタン(インナーのベロ)の付け根が後退したからか高さに余裕が出た気がします。
これには甲の部分のバックルの位置の変更もかかわっているかと思います。

かなり上に移動しているように見えます。

インナーブーツの素材変更(イントゥイションインナーであることに変更は無し)→薄く柔らかくなった

インナーの変更点では、新しいイントゥイションインナーは厚さが薄くなりました。

ターミネーターXの厚みに合わせたノギスをそのままNEWTXPROに合わせた写真です。
これによって

同じサイズでもシェルサイズが1cmくらい小さくなる(NTNのサイズSorLに変更は無し)

同じサイズのブーツでもシェルサイズが1cmくらい小さくなります。
これに関してですが、すでに巷では
「シェルが小さくなっているからワンサイズシェルを大きくしないといけない?」
とか心配という声が聞こえてきています。

ですが、今回輸入元のロストアローさんが熱成型して履いてみてと言ってくださったので私の足型で熱成型して使ってきたのですが、サイズを変更する必要は全く無い!
と思います。
もちろん今まで適正サイズを選んでいればの話です。

これを言い切れる一つの要因でもあるのですが、インナーは今までのイントゥイション社のインナーに変わりはありません。
ただ、素材というか硬さが全く違います。

今までのイントゥイションインナーってどちらかというと硬めで、熱成型するとたまにあるのですが形が戻るというか小さくなるというか、2回成型すると問題ないのですが1回の成型ではたまに足が痛くなってきたと再成形の依頼がたまにありました。
でも今回のNEWTXプロのインナーは少し柔らかい素材なんでしょうか?
形が出やすく1度の成型でものすごく快適でした。

ラストと言ってシェルの持つ幅の指標は旧もNEWも102mmと発表されています。
なのに中の広さは私の使い古しているターミネーターXより広く感じました。
シェルの踵部が小さくなったと言われ、踵の大きい方には少し不安材料があるかもしれませんがインナーの成型の許容幅でもしかしてそんなに心配にならなくて良いのかもしれません。
(と言っても踵の大きさは千差万別なので苦労する方はいるかとは思いますが…)

あと付け加えるならば、
「シェルが小さくなっているからワンサイズシェルを大きくしないといけない?」
の声が出る原因の一つに、試し履きのブーツが熱成型してあるかしていないかで印象がガラッと変わります。

メーカーが試し履きでラインアップしているブーツは熱成型していないことも良くあります。
今回のNEWTXPROはまだ試し履き用のブーツが日本に入荷して間もないです。
「シェルが小さくなっているからワンサイズシェルを大きくしないといけない?」
という声を上げている方が履いたブーツが熱成型してない可能性もあります。

私の足は26.5cmくらいなので26.5-27のシェルの27cmを履きますが、熱成型していなかったらかなりきつくて長時間は無理だな、と感じます。
なので訳が有って熱成型しないで履く方はもしかしてワンサイズ上になることもあるかもしれませんが、今までスカルパを履いていた人が適正サイズを選んでいるならば同じサイズで構わないと思います。

パワーベルトが伸縮有に変更(ブースターストラップ)

パワーベルトに少し伸縮のあるブースターストラップが採用されます。
これはベルト途中にバックルがあり取り外しも楽なのですが(写真撮り忘れました)、
特に滑走から歩きに変わる際機能のウォークモードに変更する際にアドバンテージを感じました。
パワーベルトも緩めたり外したりした方が快適に歩けますが、それがすごくやり易かったです。

カント調整は無しに変更

ウォークモードの可動域の関係でしょうか?
今まであったカント調整機能は無くなりました。

足首のベルトは固定方法が独立になった

足首のベルトの付け根ですが、今までは一か所のネジで止まっていてこれは上と下のシェルのつなぎ目でもありました。
緩むと困るのでロックタイトが流し込まれ取るのも大変でした。
正式な製品のベルトを留めるネジの固定の強度にもよりますが交換は楽になるのかな?
と予想しています。
今までもたまにベルトが長すぎて短いものに交換しなければ使えないという方もいました。
もし、交換が店で楽にできるので、すぐに対応できるのであればすごく嬉しいですね。

そのほかの変更点について

エッジガードので幅が大きくなった。
これは嬉しいです。
使い込んでいると時に蛇腹に傷が入り致命傷となることがありました。
もしかしてこれが多少防げるかも知れません。

ソールパターンはこのようになります。

ハイバックですがターミネーターX305mmくらいに対して、NEWTXPRO295mmくらいです。

前のシェルはターミネーターX270mmくらいに対しNEWTXPROは263mmくらいです。
こうなると
「前に対してかなり柔らかいの?」
と思うと思いますし、4バックルのTXプロの方からは柔らかすぎない?と心配な声も出るかも知れません。
でも

これと

これを見て分かる通りシェルのラップしている部分の幅が違うのでその部分のサポートはしっかりしています。
現に?ターミネーターXと同じ気分で東一ノ越からの急斜面に入っていった私は、ブーツの反発で体制を崩して見事にお客様の前でこけました。笑

TXコンプが廃盤になって、それからの買い替えの場合にはやはり柔らかさを感じてしまうと思います。
でも旧TXプロからの買い替えの場合は、「① TXPROの4バックルから3バックルへの変更について」でも触れたようにそこまで高さが変わるわけではないので気にしなくても良いという方も多いかもしれません。

ただ、これは滑り方や志向にも寄りので例えばセンター110mmオーバーの板でハイスピードでの滑走なのでは4バックルの方が良いということもあるかもしれません。
今後その場合にはクリスピーという選択肢になるかもしれません。

あっ、あとこれ重要なので伝えておきますが、
なぜか22デザインのアウトローXの着脱がめちゃくちゃ楽になりました。
アウトローはやたらと引っかかるので話は置いておいて、アウトローXでもたまになぜか片足が一発ではまらない事がありました。(なぜかいつも片足)
それが今回のNEWTXPROはほぼ一発ではまりました。

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